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女子高生のバイトの時給は、なぜパート主婦より安いのか?

何の求人だったかは忘れたが、数日前、家のポストに「時給850円、ただし高校生はマイナス50円」というチラシが投げ込まれていた。

■高校生だけ時給が安いことに違和感
高校生のバイトの時給が、大学生や主婦のパートよりも安いのは一般的に知られているし、「まあ、そういうものだ」と思っている方も大半であろう。

だが、私は昔から多少の違和感を持っている。「同一労働、同一賃金」が大原則であるべきだし、年齢と仕事の能力は必ずしも比例するわけではないと思っているからだ。

例えば、ファーストフード店やスーパーのレジでも、笑顔でテキパキ仕事をしている女子高生もいれば、ちょっと店が混んでくるとアタフタとテンパっている中高年パートもいる。

そうであるにも関わらず、なぜ高校生のバイトは軒並み給料が安いのだろうか、ということを今回は改めて考えてみたい。

■高校生の時給が安い理由
一般的によく言われていることは、「高校生は社会経験がないので育成に時間がかかるから」ということである。

確かに、主婦の方の多くは結婚前にOL経験があったりするし、大学生も高校生に比べれば成熟しているということはいえよう。

同様によく言われるのは「高校生はテストや学校行事でよく休む」ということだ。

この点も、大学生であればテストは前期・後期の年2回であるし、主婦はそもそもテストがない。

また、校則のバイト禁止を隠している可能性があるとか、深夜22時以降は高校生を働かせられないというように、経営者にとってのリスクや法的制約も考えられるであろう。

このように理屈を並べてみると、傾向論や確率論としては、高校生よりも大学生や主婦のほうが、雇用リスクが低く、アウトプットも多いことが期待できるので、時給は高く設定すべき、という経験則は確かに成り立つ。

■高校生かどうかに関わらず「個」が評価されるべき
しかし、私は、それだけではなく、年齢や属性に関わらず、「個」をもっと評価すべきなのではないかと思うのだ。

冒頭のチラシの例で言えば、私は、高校生の子が「一般マイナス50円」の時給800円からスタートしても、必要以上に休んだりせず、能力があり、やる気がある子の時給は積極的に一般と同じ額に引き上げれば良いと思う。大学生や主婦と同じくらいのアウトプットをしてくれるならば、時給も同じにするのがむしろ自然であろう。

では、その時給の引上げの原資はどうするかというと、逆に、高校生以外のアルバイトやパートに目を向けてほしい。

つまり、高校生の時給が安いことが問題ではなく、逆に、高校生以下のアウトプットしかしない人まで、「高校生でないから」という理由だけで、高い時給に安住できるのはおかしいのではないか、というのが私の意見である。

法的なテクニックを踏まえて言うならば、高校生以外には、時給が850円スタートとして提示されるものの、うち50円は「調整給」であり、3ヶ月後の能力評価で見合っていなければ、800円に減額するという方法が考えられよう。

採用時の時給の出発点は違っても、正当な評価を通じて、高校生かどうかに関わらず、最終的には、その人の能力に応じた時給に収束していくべきではないだろうか。

■総括
高校生であっても、自分の学費を稼いだり、家計を助けたりするために一生懸命働いている子もいる。そういう子が、「高校生だから」という理由だけで安く使われるのは、社会保険労務士としてというよりも、いち個人として、忍びないと私は思っている。

もちろん、逆パターンも少なくなく、きちんと働いた対価として給料をもらえる、ということの自覚がなく、責任感の足りない高校生バイトが多々いることも知っている。

だが、それをもって「高校生バイトは無責任だから時給は低くてよい」と、ステレオタイプ化してしまうのは、やはり早計なのではないだろうか。

高校生であれ大学生であれ主婦であれ、「個」が正当に評価され、真面目に働く人が報われる世の中であってほしいと私は思っている。

なお、「高校生には最低賃金は適用されない」と誤解をしている経営者がいたり、高校生自身もそのことを知らない場合があるようなので、最低賃金は高校生も含め、すべての労働者に対して適用される、ということを最後に付言しておく。

 

 

 

うーん、それは、女子高校生の本分は高校生だから。ではないでしょうかw?